2024年9月23日
前回のお話のつづき…
建築物には多くの隙間が存在します。
大きく分ければ
① 物として必然的に存在する隙間 と
② 工事過程において出来る隙間 の二種類があります。
【① 物として必然的に存在する隙間】
例えば、建築物の窓は採光や眺望の獲得と共に、複数を開放することによって通気(空気を送り入れること)することで、換気(空気を入れ替えること)を促すための装置でもあります。また大型の引違窓(掃出窓 テラス窓)や玄関戸は人の出入りや物の出し入れのための開口部であり、換気においても出入りにおいても開閉の動作をともないます。このため障子(ガラス戸)どうしや、障子と枠の間には必ず隙間が存在し、隙間があるからこそ窓の開閉が可能となるため、この隙間は開閉動作のある装置として必然的に存在する隙間とも言えます。窓の種類によっても気密性は異なりますが(隙間の大きさ 引違系>引寄系>Fix)、隙間を小さくしながら、かつスムーズに開閉できる高性能の窓が一般的になっており、窓が大きいからと言って、窓が多いからと言って、建築物の性能が著しく損なわれることは無いと考えます。
【② 工事過程において出来る隙間】
建築基準法に示される建築物とは【土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱もしくは壁を有するもの】と定義されます。一般的な建築物の場合、これに床が加わりますが、ゆえに建築物は屋根・壁・床を構成する部材の集合体であり、これに加えて生活を維持するための給排水や電気設備機器、設備配管・配線が複雑に組み合わされた機械のような側面を持ちます。工場生産により、まさに機械のように住宅を作ることで、精度の高さ=性能の高さを謳う住宅メーカーも少数在りますが、ほとんどの場合、住宅は青空のもと、イレギュラーな環境下において、たくさんの材料や部材を現場に運び込み、これを人の手によって組み合わせることで、ようやく完成します。
このため建築の過程においては、部材間の『隙間』が生じ、配線・配管のための『穴』があけられていきますが、これは通常の建築工事において必然的に出来る『隙間』や『穴』であり、これが工事中の一時的なものであれば問題ないと考えます。
ただし、その後の工事において、これらの『隙間』や『穴』が適切な方法で塞がれなければ、それは断熱の欠損となり、漏気につながる隙間となって、住宅性能の低下や住宅の短命化に直結する瑕疵となってしまいます。
このような『隙間』や『穴』をどのように塞いでいくのか、『隙間』や『穴』を塞ぐことで住宅の性能や寿命がどのように変わるのかについては次の回にまたお話していきたいと思います。
設計部 大橋