
2025年5月02日
夜、家に帰ってきたとき、ふと目に入る庭の木々が、やわらかな光に照らされている。
それだけでどこかホッとし、住まいがやさしく迎えてくれているように感じることがあります。
私たちが「夜の明かり」を考えるとき、どうしても室内の照明に意識が向きがちですが、
本当の心地よさは、庭と室内がつながっていることからも生まれます。
たとえば、樹木や地表面を月明かりのように
上から下へやさしく照らす灯り。
まぶしさがなく、光と影の濃淡が庭に静けさと奥行きをもたらします。
内外の照度差を少なくし照明器具を工夫することで、
室内の窓ガラスへの映り込みも抑えられ、
カーテンを閉めずとも自然に外の景色が目に入ります。
こうした「外の明かり」が整うことで、
室内もまた自然と落ち着いた光環境に寄り添っていくようになります。
眠りへと向かう、やさしい助走
現代の住宅では、「明るいことが良い」という価値観が根強く残っています。
天井から室内全体を照らす照明が当たり前になり、
住まいの夜の表情は、時にオフィスや店舗と似たものになってしまうことも。
でも、本来住まいは「夜の時間をゆっくり過ごす場所」です。
一日の疲れを癒し、心と体を整え、眠りへと向かっていくための場所。
だからこそ照明も、明るさそのものよりも「気持ちの切り替え」に寄り添う光であることが大切です。
私たち人間は、スイッチを切ってすぐに眠れるわけではありません。
眠りの前には、光を落とし、少しずつ静かな時間へと移行していく助走が必要です。
そんなとき、視線よりも低い位置に置かれたスタンドライトやフロアライトが、ふんわりと部屋の一角を照らしてくれると、自然と心が落ち着き、深呼吸したくなるような気持ちになります。
色温度も重要で、電球色のようなあたたかい光が副交感神経を刺激し、眠りを促します。
これは大人だけではなく、小さなお子さまにとっても同じだとかんがえています。
明るすぎない環境に身を置くことで、自然と心身が「おやすみモード」に切り替わり、寝つきもよくなるという効果があります。
夜の明かりは、ただ空間を照らすだけでなく、暮らしのリズムや心の在り方に深く関わる存在です。
内と外が緩やかにつながり、必要以上に明るすぎず、やさしく暮らしに寄り添う照明計画。
そんな明かりを設計することは、家づくりにおいてとても大切なことのひとつだと、私たちはかんがえています。
5月は二週連続で見学会を開催いたします。
山口市 | 5/10(土)- 5/11(日)『庭を包む住まい』【予約制】 見学会
https://www.topia-i.co.jp/tour/250510_11
周南市 | 5/17(土)- 5/18(日)『坂の上のパノラマ』【予約制】 見学会
https://www.topia-i.co.jp/tour/250517_18
皆様のご来場を心よりお待ちしております。
曽田 龍士